June 10, 2014

フォントの埋め込みだけじゃない! – 環境に依存しないプレゼン資料の作り方 3種



せっかくフォントにこだわって作ったPowerPointの資料でも、別のパソコンで再生する場合は、そのパソコンにフォントがインストールされていなければ意味がありません。あるいは、資料として誰か別の人に渡したり、配ったりする場合も同様の問題が起こります。

not_installed2

このように、自分ひとりだけが見る資料でない限り、PowerPointで指定したフォントはファイルを開く環境に依存するということを念頭においておくことはとても重要です。

PowerPointで指定したフォントは、環境に依存する

忘れた瞬間に、MSゴシックと感動の再会です 笑

このフォントインストール環境の問題に対応するには、いくつかの方法があります。今回はその方法について、それぞれメリット、デメリットともにご紹介したいと思います。

フォントを埋め込む

「フォントを埋め込む」とは、PowerPointのファイルの中に、フォントデータも一緒に保存することを指します。PowerPointファイルの中にフォント情報も含まれるため、別の場所で開いたとしても、同じフォントで表示することができるわけですね。

フォントの埋め込みと、その種類

一概に埋め込む、といっても、パターンが2種類あります。

方法メリットデメリット
資料の中に使われている文字だけを埋め込むファイルの容量が軽くてすむ別のPCで編集することができない、または別のフォントに置き換える必要がある
使用されているフォントファイルすべてを埋め込む使用するフォントが増えるほど、容量は大きくなるいつでもどの環境でも編集することができる

容量が増えるといってもたかが知れているので、編集可能な状態で保存するほうが汎用性は高いでしょう。メールで送ったり、ネットで配信したりと、容量を抑えたい場合は使用した文字だけ埋め込むとよいと思います。

フォントを埋め込む方法

PowerPointのオプションを変更することで、ファイルにフォントを埋め込むことができるようになります。

  1. [ファイル]メニューから[オプション]を選択します。
    option
  2. PowerPointのオプションダイアログが開くので、[保存]を選び、一番下にある[ファイルにフォントを埋め込む]にチェックを入れます。
    embed_font_dialog

チェックボックスにチェックを入れると、埋め込みの形式をToggleできるようになりますので、状況に応じて使い分けてください。

メリットとデメリット

フォントを埋め込む方法でのメリット、デメリットをまとめると、次のようになります。

メリットデメリット
  • ファイルの容量が軽くてすむ
  • 手順が簡単
  • データの編集が可能な状態で保存できる(すべて埋め込んだ場合)
  • 一部のフォントは、アンチエイリアスなどが正しくかからない(かすれた感じになる)
  • 一部のTTFは埋め込めない(埋め込みを禁止しているフォント)
  • OTFを埋め込むことはできない

この方法でもっとも注意しなければならない点は、OTF(Open Type Font)に対応していない点です。

PowerPointには、OTFを埋め込むことはできません

コンバートしようと思えばできるのですが、フォントの改変は基本的にNGなので、やらないほうがいいでしょう。多くの高級フォント、例えばAxisやヒラギノ角ゴシックはOTF形式なので、TTFだけじゃなくOTFも埋め込めたらなぁと思ったことが何度もあります! :'(  もちろん、使用しているフォントがTTFのみの場合はこのオプションが使えますので、ぜひ使ってみてください。

otf_ttf

ちなみに、PowerPointでフォントを選択するとき、フォント名の左にアイコンがでているので、OTFかTTFかはそこで判別することができます。

PDFファイルにする(もっとも簡単で、信頼性の高い方法)

おそらくたいていのPCにはAdobe Readerがインストールされていると思いますので、PDFにするのもひとつの手だと思います。 単にスライドショーでプレゼンしたいだけなら、PDFでも十分可能です。また、先ほどはTTFのみでしたが、PDFファイルならばOTFでも大丈夫です(厳密には埋め込めておらず、画像になっているだけなのですが、気にしなくて大丈夫です)。

PowerPointファイルをPDFで保存する

PDF化も、先ほどと同様、[ファイル]メニューの中から行うことができます。

  1. PowerPoint 2010の場合は、[ファイル]から[保存と送信]を選択します。
    pdf_2010

    PowerPoint 2013の場合は、[ファイル]から[エクスポート]を選択します。

    pdf_2013
  2. [PDF/XPSドキュメントの作成]から[PDF/XPS]の作成を選びます。

とても簡単ですね! できたPDFをダブルクリックし、表示を確認してみてください。

Adobe Readerでのスライドショー

Adobe ReaderでもPowerPointのようなスライドショーを簡単に行うことができます。

pdf_fullscreen

メニューから行くなら、[表示フルスクリーンモード]とします。ただし、キーボードショートカットの[Ctrl+L]を覚えておくほうが何かのときに便利です。

なお、スライドを戻る、進むは、PowerPointと同様、左右、もしくは上下で可能ですし、マウスクリックの左(進む)、右(戻る)でもできます(終了はEscキーが便利です)。

メリットとデメリット

メリットデメリット
  • ファイルの容量が軽くてすむ
  • OTFでも大丈夫
  • 手順が簡単
  • 一部のフォントの表示が美しくならない
  • ほかの人が編集したりすることはできない
  • アニメーションさせたり、動画を再生したりすることができない
  • Adobe Readerがインストールされていない場合もある

出力の美しさにはそこそこの信頼がおけ、なおかつ手順が簡単な方法です。ファイルサイズも大きくならないので、メールなどで資料として送る場合はこの方法が好まれます。

ただし、動画の再生や、スライドインなどのアニメーションといった、PowerPointが持つ機能は使えません。また、環境によってはAdobe Readerがない場合ももちろんありますので、プレゼンでPCが変わる場合などは注意が必要です。

すべて画像にしてしまう(もっとも美しく表示できる)

見た目に対して最高にこだわりがある人はこの方法がお勧めです。画像として出力するので、PCによってフォントが変わることもなければ、処理の違いによって見た目が汚くなることもありません。

ただし、この方法は少し手間がかかります。また、メンテナンスが大変ですので、見た目にこだわりがある方だけ読み進めてください。ちなみに僕はこの方法をもっともよく使います。

PowerPointファイルを画像で出力する

おおよそ以下の方法で実現します。

  1. PowerPointの全スライドを、画像として出力する
  2. この画像1枚1枚をスライドに貼り付けた、新しいPowerPointファイルを作成する

つまり、全スライドが画像で構成されたPowerPointファイルを作成すればよいわけです。

ここでひとつ問題が……

デフォルトの状態で画像を書き出すと、画像の解像度はFull HD(19201080)よりも小さいです。最近のモニタやプロジェクタは、Full HD対応しているものが多いので、初期設定のままで画像を作成した場合、スライドショーで再生すると画像が拡大されて表示されることになります。

当然ボケボケですね。

具体的には、スライドのサイズを下の画像のように大きくしておきます。

slide_size

さて、スライドのサイズが調整できたら、画像として書き出してみます。

  1. PowerPoint 2010の場合は、[ファイル]から[保存と送信ファイルの種類の変更]と進み[PNGポータブルネットワークグラフィックス]を選びます
    png_2010

    PowerPoint 2013の場合は、[ファイル]から[エクスポートファイルの種類の変更]から[PNG ポータブルネットワークグラフィックス]を選びます

    png_2013
  2. 現在のスライドか、すべてかを問われますので、[すべてのスライド]を選びます。
    select_slides_to_export
  3. 保存に成功すると、保存先にファイル名の付いたフォルダが出来上がりますので、中を確認してみてください。「スライド+スライド番号」のついたPNGが連番で保存されているはずです。
    png_slides

これで、全スライドを画像として出力することができました。これらの画像を使って、新しいPowerPointファイルを作りましょう。

  1. PowerPointに戻ります。[挿入]タブから[フォトアルバム新しいフォトアルバム]と進みます。
    photo_album
  2. 開いたフォトアルバムメニューの左上にある、[写真の挿入元]から、[ファイル/ディスク]を選びます。
    photo_album_insert
  3. ファイルオープンダイアログが開くので、PowerPoint 2013の場合は、出力したすべてのPNGスライドを選んで終了です。
  4. PowerPoint 2010の場合は、先ほど作成したファイルの最初の1枚だけを選択して[作成]を選択します。1枚だけですよ!
  5. 画像がつぶれた、なんとも残念なフォトアルバムが出来上がります。いい思い出も台無しですね!
    photo_album_one
  6. 出来上がったフォトアルバムのスライドサイズを、上で出てきたサイズに変更します([デザインページ設定])。
  7. 不要なスライドをすべて消してから、[挿入フォトアルバム]から、今度は[フォトアルバムの編集]を選びます。
    edit_photo_album
  8. フォトアルバムメニューが開くので、[ファイル/ディスク]を選び、今度はすべてのPNGを選択します。
    photo_album_insert_all

この状態で挿入すると、今度は正しいサイズで画像が挿入されます! よかった! xD

メリットとデメリット

メリットデメリット
  • OTFもTTFも関係なく出力できる
  • 解像度によるが、出力が一番安定する
  • PowerPointだけですみ、Adobe Readerなどが不要
  • 手順が少し面倒くさい
  • ほかの人が編集したりすることはできない
  • 一部のアニメーションなどが使えない
  • PPTのファイル容量がかなり大きくなる

最大のメリットは、出力結果の美しさが期待できることです(解像度に依存しますが)。また、PDFはAdobe Readerで再生でしたが、今回はPowerPointを使うところは変わっていませんので

  • トランジションのアニメーション
  • 動画の埋め込み

などは、このフォトアルバムのPowerPointに設定すれば、使用することができます。「OTF、TTFフォントの見た目を維持したまま、動画の再生にも対応できる]ようにするには、今のところこの画像出力形式しかありません。ただし、かなり高解像度の画像を何枚も使用するので、トータルのファイルサイズはかなり大きくなってしまいます。

すべてが画像で構成されるスライドは、見た目を美しく維持できる代わりに、容量がかなり大きくなります

10枚あたり80Mbといったところでしょうか。当然ながら、メールで添付して送ることはできなくなります。

PowerPoint画像化プレゼンテーション

PowerPointには、すべてのスライドを画像にして新しいファイルを作成する「PowerPoint画像化プレゼンテーション]という機能がデフォルトで備わっています。なんだ、これ使えばいいじゃん!と思ったのですが、出力される画像の画質がとても悪いです(なぜかはわかりません。レジストリのdpiを修正してもだめでした)。なので、この機能は使わないことをお勧めします。

画像の容量を削減し、軽くするには

上で出力したPNG画像は、求める解像度(19201080)を超えています。したがって、画像をリサイズし、少し圧縮をかけるだけでもだいぶ容量を軽くすることができます。画像をリサイズするフリーソフトはたくさんありますが、僕が使っているものをここでは紹介しておきます。

使い方はシンプルです。

  1. 上のほうにあるwidthを1920にします
  2. すべての画像をドラッグアンドドロップします
  3. ConvertRunを選びます

すると、Resizeフォルダの中に、新しい画像が出来上がっているはずです。また、Settingsのなかから、PNGの圧縮レベルを選べます。

まとめ – 3者性能比較と選ぶ基準

環境に左右されないパワーポイント資料を作るための3つの方法をご紹介しましたが、これらは、用途に応じて使い分けるとよいでしょう。

項目フォントを埋め込む方式PDF形式画像形式
出力の美しさ
OTF対応×
ファイルサイズ×
アニメーション対応×
動画再生×

いろいろな人が編集する場合は「埋め込み」、ちゃちゃっと済ませたい場合は「PDF」、美しさが第一なら「画像」というように、なんとなくの基準を設けておくのがベストですね。